「杉でつくる家具 in 東京・渋谷」 イベントレポート(ワークショップ編)

去る2023年8月27日(日)、渋谷・ヒカリエ8Fのイベントホールで「杉でつくる家具」のワークショップを開催しました。

今回のイベントは、ロングライフデザインの普及に取り組むセレクトショップ、D&Department からの依頼で実現しました。ワークショップには12名もの申込みがあり、渋谷の商業ビルという場所柄、にぎやかな会場となりました。

イベントホールということで、いつもと違ってホワイトボードとマイクを使ってのレクチャーしましたが、なんだか学校の先生のような気分になりました。いつもと勝手が違って慣れませんでしたが、個人的にはとても貴重な体験となりました。

冒頭はいつものようにノコギリの仕組みの話からはじめます。

ぼくのノコギリレッスンはまず道具の観察からはじめます。よく観察して道具の構造を知り、役割を知ることは、工作が上手くなるための必要条件です。ノコギリの刃を真正面から見つめる機会は、そうそうありませんから(笑)。ノコギリの小さな刃の形を凝視して、刃の形が実は違うことがわかると、ちょっぴり得した気分になります。受講生の「なるほど!」といった表情に出会えるのもうれしいところです。

道具の役割がわかったら、あとは身体をどう動ごかすかのトレーニングです。道具の力を100パーセント引き出せる身体のフォームを、スポーツ感覚で皆さんに学んでもらいます。

アナログな道具は、自分自身が動力になります。つまり人は機械のように一定のリズムで、一定の角度で、一定の動きすること(なるべく楽に!)重要になってきます。

機械のように、といいつつ、ノコギリで切れている感覚に手先の神経を集中させ、わずかな異変にも察知することも大切です。

加工中の異変は、音や振動でも感じ取れます。五感で道具を使う意識を養うことも大事です。

上の写真は、姿勢の修正ポイントを、参加者と一緒に確認している様子です。客観的にみていくと、説明と映像がリンクして理解しやすくなります。

皆さんそれぞれ身体の使い方を修正しながら、徐々に上達が見えてきます。最初はうまくいかない方も、姿勢を正すことで、まっすぐ正確に切れるようになってきます。何が間違っているか、しっかり言葉で伝えることで、フォームを修正する意味や、修正した後の納得感が違います。これが、道具を使いこなすためのコツをつかむ、という感覚だと私は思っています。

サポートで駆けつけてくださった講師の二人(伊藤洋平さんと笠原嘉人さん)も、それぞれの視点でノコギリの使い方を教えます。道具は人によって使いこなし方が違うので、私も毎度勉強になります。

今回、スツールの材料は、これまで全国各地でワークショップを行うごとに集めていた杉材を用意しました。北海道・道南杉、東京・多摩産杉、岐阜・飛騨杉、大分・日田杉。同じ杉でも軽さ、表情、手触りが違っていて、それぞれの特徴を説明すると、皆さんも材料を見る目が違ってきます。

さて、皆さん加工が終わって組み立て作業です。

ドライバーを使って組み立てを進めて行きます。ドライバーも体全体を使うことを意識するとうまく使いこなせるようになります。

ワークショップ開始から2時間半ほど経過すると、ほとんどの方はフレームの組み上げまでたどり着きます。最後は恒例の脚のガタつき調整です。

脚のガタつきがなくなると、受講生の方が大抵、拍手をしてくださいます。これで私の仕事は無事終了。いつもながら、内心ひやひやドキドキの作業です(笑)。

今回、会場の時間制限のため、受講生の皆さんとの集合写真が撮れませんでした。代わりに主催のD&Departmentの皆さんとの記念ショットをどうぞ。

次回ワークショップは、10月21日(土)に東京・檜原村で開催します。前回同様、次回も東京チェンソーズのご協力のもと、森林ツアー+木工ワークショップの豪華プログラムです。以前から私たちのワークショップに興味を持っている方は、今回がチャンスですよ。

詳細はこちらから→ http://www.sugi-diy.com/posts/48352402?categoryIds=2288712


ではまたお会いしましょう!

(グループモノ・モノ 大沼)