「杉のDIYデザイン展 in 名古屋」 ワークショップレポート

新宿のリビングデザインセンターOZONEを皮切りにスタートした、杉のDIYデザイン展の巡回展。今回は5月31日(金)から6月2日(日)の3日間、名古屋へ遠征してきました。会場は名古屋市東区にあるcanna(カンナ)家具店。古民家のすてきなギャラリーをお借りして、資料展示とワークショップを行いました。

同ギャラリーはもともと地域との交流も盛んだったこともあり、ご近所さんが展示会をちらほらと見に来てくださった方もいたり、ワークショップの参加者の方の中にも、「すぐ近くに住んでます」という方がいたりと、アットホームな雰囲気の中で3日間を過ごさせていただきました。


杉家具ワークショップの先駆者、賀来寿史さんとのコラボが実現!

今回の展示会には賀来寿史(かくひさし)さんにも共同出展いただきました。賀来さんは大阪を拠点に活動している木工家。もともとオーダーメイド家具を作られていましたが、10年ほど前から杉を使ったDIY家具「つくれる家具」の活動にシフト、ワークショップを全国で展開されています。

賀来さん担当のワークショップでは、代表作「つくれる家具・スツール小型版」を製作いただきました。賀来さんのワークショップを間近で見るのも初めてだったので、とても刺激的でした。

道具の知識、使う言葉も私とは違いますが、どこか通じるところもあり、とても参考になりました。今回は時間の制約で短縮コースでしたが、普段は1日がかりで1脚を作るワークショップを行っているそう。賀来さんの本気のワークショップをいつか見てみたいと思いました。


名古屋でも大人気だった、KAKデザインのワークショップ

私が担当する杉家具ワークショップでは、参加者からノコギリに対して持っているイメージや悩みについてまず共有することからはじまります。

「力を抜いて、ノコギリに仕事をさせる」

「まっすぐノコギリを動かす」

この2つの言葉を達成するために、言葉を噛み砕いて、ノコギリを使いこなすためのコツを皆さんにお伝えします。具体的には腕や手に余計な力を入れるとどうなるか、体の姿勢がノコギリの作業にどう影響するか、などといったレクチャーをします。

参加者から「切り終わりに材料が落ちて裂けてしまう。どうすればよいか」という相談があったので、ノコギリのカット音を耳で確認するということもレクチャーしました。

何かを作る時に発生する音は、意外と重要なサインを伝えてくれたりします。

違和感のある音、途中で変わる音。何か変だなと思ったら、何かが起きているサインです。

かなり微妙な変化なので、みなさん最初は眉間にしわを寄せていましたが、徐々に聞き慣れてくると、「あぁ〜…これか」という顔に変化していきました。実際やりながらでないとわかりにくですが、音はいろんなヒントをくれます。

型紙を使って墨付。この後、30分ほどノコギリのトレーニングをします。

トレーニングを進めるうちに、ノコギリを引く音が少しずつ変わって心地よい音になっていきます。原因を探しながら修正していくことで、短時間でもすごく上達します。部材カットが終わったら組み立てに入ります。

杉家具のワークショップでは、ドライバーとビス(木ネジ)を使って部材を固定します。肉厚の座板にビスをまっすぐ打つには部材をしっかり固定する必要があります。手で押さえるだけでは不十分だと感じた方が、クランプで角材を固定するアイデアを見つけたり、各々が効率のよい方法を考えます。こんな創意工夫が工作をより楽しくしてくれます。

すべての部材を固定したら、平らな板の上に置いて脚がガタつかないかチェックします。

前回のワークショップではほとんどの人がガタついていましたが、今回はなんとガタツキのある人は数人のみ。皆さん優秀で、講師のほうがびっくりしてしまいした(笑)。

2WAYスツールの脚のガタつきを取るのは少々コツがいるので、通常は講師がやりますが、今回は自分で直したいという頼もしい方がいらっしゃったので、ガタつきを取るためのレクチャーもしました。

いよいよ最終仕上げ。表面と角をサンドペーパー仕上げて完成です。

最後にみなさんからひと言ずつ感想をうかがい、記念写真を撮って終了しました。

ノコギリが上達した実感をみなさん感じていただけたようで、こちらもうれしくなりました。

来場いただいた皆さん、ワークショップに参加してくださった皆さん、そして会場を提供してくださったcanna家具店の山本彩子さん(下写真中央)、本当にありがとうございました!とても充実した3日間となりました。

次回は岐阜へ遠征します!

お次は岐阜県飛騨市へ遠征します。2019年6月28日(金)から6月30日(日)の3日間、FabCafe Hidaと共催で「杉のDIYデザイン展 in 飛騨」を開催します。

飛騨では資料展示のほかにギャラリートークや勉強会もあり、盛りだくさんな内容です。

森のレッスンと称して、杉を使ったDIYの魅力を語ります。また「杉でつくる家具」のワークショップを開催したいという人向けにインストラクター養成講座も行います。

そのほか参加者との懇親会(Fabcafe Bar&モノ・モノサロン)もあり、杉家具談義に花を咲かせたいと思っています。ご興味ある方はぜひご参加下さい!

イベントの詳細はFabCafe Hidaのウェブサイトで。


文:大沼勇樹(グループモノ・モノ)

「杉でつくる家具」公式サイト

1953年にデザインされた、DIY家具が現代によみがえる。